漢字が覚えられる暗号小説です。灰色の数字をクリックし、数列解読しながら、お読みください。

チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン(前半)

ストーリー解説(wikipedia)



下は、シャーロック・ホームズ「チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン」の前半文です。会話文主体で、論理的に、かな:漢字は読みやすい範囲内の比率で書かれています。22の段落に分けられ、その段落の冒頭には毎日1つ黒色から灰色に変わるカッコ付きの番号が付けられています。その灰色の番号をクリックすると、画面が「小説文解読パズル(Seesaa ブログ)」に切り変わり、いくつかの漢字が数列化された段落が現れます。現れた段落の数列を漢字の読み、綴りに戻していくうちに、それらの記憶が強化される仕組みになっております。単に読書をしただけなら、漢字力がつくとは限りませんが、この方法なら、つくはずです。では、クリックして、解読してみてください。ストーリーは、こちらをお読みください。



(1)私がこれからお話する事件が起きてから何年か経つ。それでもまだ口外するにあたり気後れしないわけにはいかない。長い間、どれほど配慮した書き方をしようとも、この事件を公にすることはかなり難しかったであろう。だが、主要な関係者は人間の法律のおよばないところにいるのだから、適切に手心を加えておけば、だれひとり傷つけないようなやり方でお聞かせできるかもしれない。これは、ミスター・シャーロック・ホームズと私の双方の経歴にしるされた、まったくユニークな経験の記録である。私は日付などの事実を隠す。それによって、実際の事件を追跡してみることができなくなるかもしれないが、その点どうかお許し願いたい。ホームズと私は夕方の散歩に出かけ、6時に、凍てつくような冬の夕暮れからもどってきた。ホームズがランプに火をつけると、テーブルのうえに1枚のカードが載っていた。それに目を通したホームズは、悪態とともに床に投げ捨てた。私が拾いあげて読んでみると――代理業チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンハムステッド、アップルドア・タワーズ「誰?」と私はたずねた。「ロンドン1の悪党」と、ホームズは腰かけて足を暖炉の方に伸ばしながら答えた。「裏にはなにか?」名刺を裏返してみた。「6:30に伺う――C. A. M.」私はそれを読み上げた。「ほう! もうそろそろだな。ワトスン、動物園でけばけばしい毒蛇なんかを見たときにさ、薄気味の悪い、ぞっとするような感じがするだろ? あのおぞましい目やおそろしげなのっぺりした顔を見ると。ミルヴァートンを見るとちょうどそんな気分になるんだよ。ぼくはこれまで山ほど殺人犯と渡り合ってきたけど、あの男ほどむかむかするやつはいなかったね。けれども、あいつとの取引は避けられない――実はね、やつをここに呼んだのはぼくなんだ」


(2)「でも誰なんだ、そいつは?」「教えてやるとも、ワトスン。こいつはあらゆる強請屋(ゆすり)の王者だよ。ミルヴァートンに秘密を握られてしまった男はね、まあ女のほうが多いんだけど、もうどうにもならないんだ。顔は笑っていても心は無慈悲そのもの。そういう態度で被害者をしぼりにしぼり、干物にしてしまう。その道にかけては天才だよ、もっとまともなことをやってても名をあげてたと思うね。そのやりくちはというと、まず富や地位のある人々が書いた手紙に大金を支払う用意があるって噂を流す。そういう手紙は、不実な付添人とかメイドとかからでてくることもあるけれど、その女性が信頼と愛情を注いでいる当のえせ紳士からでてくることも多いんだな。やつは金を出し惜しんだりはしない。偶然知ったことだけど、たった2行の走り書きを持ちこんできた従僕に700ポンドもだしてやったこともある。結果、ある名家が破滅した。金でなんとかなるものならなんだってミルヴァートンのもとに転がり込むようになっててね。この大都市でミルヴァートンの名を聞いただけで真っ青になる人間は3桁にのぼるだろうな。次はどこに手を伸ばしてくるか、分かったもんじゃない。だって、やつは金にはまったく困ってないし、すぐに足がつくようなまねはしないしね。手にしたカードを何年もふせておいて、ここいちばんというときになって切ってくるんだ。さっき、ぼくはやつをロンドン1の悪党と言ったけど、かっとなって仲間を殴りたおしてしまうようなチンピラとは比べものにならないだろう? やつは金を唸らせているくせに、暇つぶしみたいなつもりで、計画的に人を苦しめるんだからね」ホームズのこれほどに感情的な喋り方を聞くのは珍しいことだった。「でもきっとさ、法律の力でなんとかなるんじゃないのか?」


(3)「理屈ではまったくそのとおり。でも現実的には無理だ。やつをほんの何ヶ月か牢にぶちこんでみても、たとえばある女性にとってはだな、やつが刑期を終えたとたん破滅するのは目に見えているじゃないか。被害者には反撃する気力もないよ。もしもやつが罪のない人間をゆすってくれれば、ぼくらにも手のうちようがある。でも、悪魔みたいにずるがしこいからね、そんなことはあるまいよ。だめだな、ぼくらはなにか違う手を探さないと」「で、なんでまたここに?」「それはね、ある高名な依頼人からこの件を任せられたからだよ。依頼人はレディ・エヴァ・ブラックウェル、昨シーズンに社交界にデビューした人の中ではいちばんきれいなひとだね。ドーヴァーコート伯爵と2週間後に結婚することになってる。ミルヴァートンのやつ、依頼人の軽率な手紙をいくつかおさえててね。軽率という程度にすぎないものなんだけど――無一文の若い田舎地主にあてた手紙なんだ。婚約を破談にもちこむには十分だろう。ミルヴァートンはその手紙を伯爵に送りつけるつもりなんだ、それがいやなら大金を支払え、とおどしをかけている。ぼくはやつに会って、できるだけよい条件を引出すようにと言いつかったってわけだ」そのとき、下の通りからひづめとわだちの音が聞こえてきた。見下ろしてみると二頭立ての立派な馬車が止まっており、街灯に明るく照らされて、みごとな栗毛の馬がつややかに輝いていた。馬丁がドアを開けると、もこもこしたアストラカンコートを着こんだがっしりとした体つきの小男がおりてきた。そしてすぐに、その男が部屋に通されてきた。チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンは50代の男で、その知能の高さを思わせる大きな頭の持ち主だ。


(4)ふっくらとした丸顔で、はげあがっている。凍りついてしまったみたいにずっと笑顔を絶やさず、両の灰色の瞳は、金縁の大きな眼鏡の奥で明るくきらめいている。外見的にはなんとなくピクウィック氏(チャールズ・ディケンズ「ピクウィック・ペーパーズ」の主人公)の福々しさがあった。凍りついたほほえみとあちこちと探るようにうごきまわる目つきがそれを裏切っていたが。顔つきと同じくものやわらかな声音で、先に訪問したときに会えなかったのは残念でしたとかなんとか言いながら、小さくてふっくりとした手をさしだした。ホームズはその手を無視して、無表情にミルヴァートンの顔を見つめた。ミルヴァートンはいっそうにこやかになり、肩をすくめ、脱いだコードを丁寧にたたんで椅子の背にかけた。そして、自分も腰をおろした。「そちらのかたは?」と私のほうをみぶりで示しながら言う。「だいじょうぶなのですか?」「ドクター・ワトスンは私の友人であり、パートナーでもあります」「けっこうです、ミスター・ホームズ。あなたの依頼人の利益のことを思っただけですよ。ことはじつに微妙なところがありまして――」「ドクター・ワトスンはすでに聞き及んでおります」「ではさっそくビジネスを進めましょう。レディ・エヴァのために動いておられるということでしたね。こちらの条件をのむ権限は任せられておられるのですか?」「そちらの条件とは?」「7,000ポンド」「さもなくば?」「そうですな、そのことをお話するのは心苦しいばかりなのですが――万一14日までにお支払い戴け(いただけ)なかった場合、18日の結婚式は中止になることでしょう」鼻持ちならない例のほほえみが、さらに得意そうに広がった。ホームズは少し考えてから答えた。


(5)「どうやらそちらはことを大きく構えすぎておられるようですね。私は、もちろんその手紙の内容を存じております。依頼人は、私のアドバイスどおりに行動することになるでしょう。未来の夫に本当のことを打ち明けて、その寛大さにすがるように、とね」ミルヴァートンはくすりと笑った。「なるほど、伯爵のことをご存知ないのですな」ホームズの顔に影が差したのを見ると、明らかにホームズは知っているようだ。「そんな手紙になんの危険がありましょうか」「快活な――たいへん快活な手紙ですからね」ミルヴァートンは答えた。「レディ・エヴァは魅力的な文通相手ですな。ですが、ドーヴァーコート伯爵にはその魅力をご理解いただけないと思いますよ。なんにせよ、そちらは違うふうに考えておられるのですし、お話はこのへんで切り上げるとしましょう。これは純粋なビジネスなんです。伯爵の手にこの手紙をのせるのがなによりも依頼人にとって得だとお考えなのでしたら、実際、かくも大金を支払って取り帰そうとするのは頭の悪いことですしね」そう言うと、ミルヴァートンは立ち上がってコートに手を伸ばした。ホームズは怒りと屈辱で青ざめていた。「ちょっと待ってください。結論を急ぎすぎておられますよ。こういう微妙なことがらについては、スキャンダルを防ぐために全力を尽すようにしたいものです」ミルヴァートンはふたたび椅子に収まった。「分かっていただけると確信しておりましたよ」と、ミルヴァートンは満足げに言った。「と、同時に」と、ホームズが続けて、「レディ・エヴァが豊かな女性でないというのも間違いないことです。お断りしておきますが、彼女の力では2,000ポンドが限界ですね。ご指定の金額はそれをはるかに上回っております。


(6)そういうわけですから、すこし譲っていただいて、先に申し上げた額で手紙を渡していただけませんか。お断りしておきますが、それ以上の額を手にするのは無理な望みというものですよ」ミルヴァートンのほほえみが広がり、愉快そうに目をきらめかせた。「分かっておりますよ、彼女の資力についてはおっしゃるとおりでしょう。と同時に、貴婦人の結婚というものは、新婦の友人縁者にとって、新婦のためを思って多少の骨折りをいとわない、そんな機会だということもお忘れなく。結婚記念の贈り物にはなにがいちばんいいか、いろいろ気苦労があることでしょう。みなさんに、この手紙の束こそが、ロンドン中のどんな燭台とかバター皿よりも喜ばれるものだとお知らせしてもいいんですよ」「無茶をおっしゃらないでください」とホームズは言った。「いやはや、不幸なことです!」ミルヴァートンは叫びながら、膨らんだノートを取り出した。「ロンドンの貴婦人方は、努力を放棄せよという誤ったアドバイスを受けていると考えずにはいられませんな。これをごらんください!」と、封筒に紋章が入った短信を掲げて見せる。「この手紙は――いや、明日の朝まで名前は伏せておいたほうがフェアというものかもしれませんな。でも、そのときにはこの方のご主人の手にわたっているわけです。それもすべて、この貴婦人が自分のダイアモンドをひとつ、模造品にかえればすむくらいのはした金を準備しようとしないせいですよ。まったく残念なことですな。ところで、ミス・マイルズ議員令嬢とドーキング大佐の婚約がとつぜん終わりを迎えたのは覚えておられますね? 結婚式のほんの2日前のモーニングポストが、1段落ほどのスペースで扱っていましたが。さて、なぜでしょう? 


(7)おおよそ信じがたいことですが、200ポンドという馬鹿げた金額ですべて丸く収まっていたはずなのですよ。残念なことではありませんか。そしていまここで、あなたのような分別あるお方が条件についてぐずぐずしておられる。依頼人の未来と名誉が危機にさらされているというのに。まったく驚きましたよ、ミスター・ホームズ」「ほんとうのことをお話しているのですがね」とホームズは言った。「そんな大金は用意できません。私が申し上げた金額で手を打たれたほうが賢明ではありませんか? この女性の経歴に傷をつけるよりもね。そんなことをしてもなんの得にもなりません」「そこのところ、勘違いなさっておいでですな、ミスター・ホームズ。あるスキャンダルがあらわになったとします。そうなると、それとは違う方面で少なからずこちらの利益になるでしょうね。いま計画中の似たようなケースが8から10件ほどあります。私がレディ・エヴァに対して厳格な対応をしたという例が彼らの耳に入ってくれれば、私の仕事はもっともっとやりやすくなることでしょう。お分かりですか?」ホームズは椅子から飛びあがった。「後ろにまわれ、ワトスン! 部屋から出すな! さあ、そのノートを見せてもらいましょうか」ミルヴァートンはねずみのようにすばしっこくたちまわり、壁を背にした。「ミスター・ホームズ、ミスター・ホームズ!」ミルヴァートンは上着の前を返した。内ポケットから大型のリボルバーがのぞいている。「なにか独創的なことをやっていただけるものと期待しておったんですがね。こんなのはありふれたやりくちですよ。うまくいきっこありませんて。私は完全武装ですし、遠慮なく武器を使わせていただきますよ。法律はこっちの味方ですからね。


(8)それに、このノートに問題の手紙をはさんできたなんて、勘違いもはなはだしい。そんな馬鹿なまねはしませんよ。それではみなさん、今夜はまだ2、3約束がありますし、ハムステッドまでは遠い道のりですから、これで失礼いたしますよ」ミルヴァートンは足を踏み出し、コートをとりあげて、リボルバーに手をかけたままドアの方に向き直った。私は椅子をすこし持ち上げたが、ホームズが首を横にふってみせたのでもとにもどした。ミルヴァートンは会釈し、微笑し、目をしばたかせると、部屋を出ていった。数分後、我々は彼の馬車が走り去っていくのを耳にした。ホームズは暖炉のそばにじっと座っていた。両手をズボンのボケットに深く突っこみ、あごを胸につけて、赤熱する燃えさしを見つめていた。半時間、そのまま何も言わずにいた。それからなにかを心に決めたようなそぶりで椅子からはねおきると、ベッドルームに入っていった。その後すぐに、そこから、やぎひげをはやした小粋な若い労働者が出てきて、表に通じる階段を降りようとしたが、その前にランプでパイプに火をつけた。そして「そのうちもどるよ、ワトスン」と言うと、夜の闇に溶け込んでいった。ホームズはチャールズ・オーガスタス・ミルヴァートンに対する作戦を開始したのだ。しかし、その作戦があのような形をとるとは夢にも思わなかった。数日間、ホームズはいつ何時でもこの風体(ふうてい)で出入りしていた。ハムステッドで活動していて、それがまったくの無駄ではなかったということは分かっていたが、それ以上はホームズが何をやっているのかまったく知らなかった。しかしながら、ついにあるひどい嵐の晩、風で窓ががたがたと音をたてていた晩に、ホームズは最後の遠征からもどってきて、変装を解いてしまってから暖炉の前に腰を下ろし、心から笑いだした。


(9)例の、静かで内向的なあの笑い方で。「ぼくを結婚したがるような男だとは思ってなかっただろうね、ワトスン」「そりゃそうだよ!」「おもしろいと思わないか? ぼくは婚約したんだよ」「なんとまあ! いや、おめで――」「ミルヴァートンのメイドとね」「なんだって、ホームズ!」「情報が欲しかったんだよ、ワトスン」「やりすぎだと思わないか?」「なにより必要なステップだったんだよ。ぼくは景気のいい配管工でね。名前はエスコット。毎晩彼女と散歩しておしゃべりしてたんだよ。まったく、あのおしゃべりときたら! まあしかし、欲しかったものは揃った。ミルヴァートンの家のことはもう手に取るように分かっている」「けど、その娘はどうするんだね、ホームズ?」ホームズは肩をすくめた。「やむをえないだろ、ワトスンくん。危機がこんなに迫っているときには最善の手を尽さないと。それにしても、背を向けた瞬間に間違いなく切りつけてくるような憎らしい敵を相手にするのは楽しいものだね。今夜はじつにすばらしい夜だ!」「こんな天気が好きだっていうのか?」「目的にあうからね。ワトスン、ぼくは今夜、ミルヴァートンの家に押し入るつもりだ」私は息を飲んだ。断固として決意した調子でゆっくりと紡ぎだされたその言葉を聞いたとたん、全身から血の気が引いていくのが分かった。稲光が広々とした景色を一瞬にして浮かび上がらせるように、その行為のもたらす結末がちらりと脳裏をかすめる――発見され、捕らえられ、輝かしい経歴がとりかえしのつかない失敗と屈辱で幕を閉じ、ホームズ自身は憎むべきミルヴァートンのなすがままに横たわっている。「頼むからホームズ、何をやろうとしているのか考えてみてくれよ!」と私は叫んだ。


(10)「ねえ、あらゆることを考えてみてのことなんだよ。ぼくはけっして軽率に動いたりはしないし、他に手があるんだったらこんな、疲れる上にまちがいなく危険だと分かっているような真似をしやしない。ことを偏りなくしっかりと検討してみよう。きみだって、これが道徳的に正しいことだとみとめてくれるよな。理屈では犯罪だとしてもね。やつの家に押し入るといっても、あの手帳を奪ってくるだけのことなんだ――あのとき、きみが手伝ってくれようとしたことだよ」私はそれを頭の中で検討してみた。「そうだね。道徳的には正しい。ただ不正な目的に使われるものだけを持ち出すんであれば」「そのとおり。道徳的に正しいことだからこそ、個人的に危険を冒してでもやってやろうと考えた。淑女から切実に助けを求められているというのに、紳士たるもの傍観してていいわけないじゃないか?」「それにしても、立場上まずいことになるぞ」「まあ、それも冒すべき危険のひとつだよ。あの手紙をとりかえすにはそれしかないんだから。レディ・エヴァはあんな大金を持っていないし、相談できる相手もいない。残された時間はあと1日。今夜中に手紙が手に入らなければ、あの悪人は言葉どおりのことをやって依頼人を破滅させるだろう。というわけで、ぼくは依頼人をその運命の手に委ねるか、さもなくば最後のカードを切るしかない。これはね、ワトスン、ミルヴァートンのやつとぼくとの堂々たる決闘なんだよ。きみが見たとおり、最初の手合わせでは向こうが完勝した。でも、ぼくのプライドと名にかけて、最後まで戦いぬいてみせる」「うーん、あまり気に入らないけど。しかたなさそうだな。いつからでかけようか?」「君はこなくていい」


(11)「じゃあ、君は行かなくていい。ぼくの名誉に誓う――いままで一度だって破ったことはない――この冒険をともにできないというのなら、ぼくは馬車をつかまえ警察署に駈けこんで、なにもかもしゃべってやる」「役に立ってもらえそうにないんだよ」「どうしてそう言える? 何が起きるかわからないじゃないか。とにかく、ぼくはゆずらないよ。プライドと名を重んじるのはきみだけじゃない」ホームズは悩んだ目つきをしていたが、やがて眉を開いて私の肩を叩いた。「わかったわかったワトスンくん、そうしよう。何年か同じ部屋で暮らしてきた仲だ、同じ檻で果てるのも一興かもな。ねえワトスン、ここだけの話、ぼくはきわめて腕のいい犯罪者にだってなれたといつも思ってたんだ。その方面でのぼくの生き様をお目にかけるいい機会だよ。ほらこれ!」ホームズは引きだしから皮製のこぎれいな小型ケースを取りだすと、蓋をあけ、中のきらめく道具の数々を見せてくれた。「第一級の最新式泥棒道具だよ。ニッケル箔の金梃子に、ダイアモンドのガラス切りに、万能鍵。文明の進歩にしたがって改良されてきた道具が他にもたくさん。ぼくの覆い(おおい)のついたランタンもここにある。準備万端だ。てごろな靴はあるかい? 歩いても音がしないようなやつ」「ゴム底のテニスシューズがあるよ」「完璧だ。マスクは?」「黒絹から1組作れるよ」「この種のことにはけっこう素質があるらしいね。わかったよ、マスクを作っておいてくれ。出かけるまえに軽く冷たい食事をとることにしよう。今9時30分だ。11時にはチャーチ街につくようにする。そこからアップルドア・タワーズまで徒歩15分。0時までには仕事にとりかかりたい。ミルヴァートンは眠りの深いたちで、きまって10時30分に部屋にさがる。うまくいけば、2時までにはここにもどってこれるはずだ。

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米澤章夫

Author:米澤章夫

小説文解読パズル」考案者

沢山の方々のご訪問ありがとうございます。
このブログの本文は、小説文解読パズル(Seesaaブログ)
の出題元となっています。段落内の漢字が出題されますので、よくお読みください。

ところで、どんなトレーニング、学習にせよ「面白い」と感じている時は集中力は増します。集中力が増せば効果も増します。本ブログはこの理屈に基づいた漢字暗記法を公開しております。ブログには小説文中の任意の漢字または漢字と送り仮名の音が数字化されており、小説文を読みながら、それらの数列を数字に分割し、分割した数字を漢字の「読み」「綴り」に戻していくうちに、それらの記憶を強化できるというものです。分割するたびに、いろんな漢字が脳裏によみがえり、答え合わせをすることで「綴り」を確認することができます。前後の句と比較することで、その「使い方」を確認することもできます。以上のことから、「記憶の呼び戻しは、数列解読過程にある」と言っても過言ではありません。あなたも「数列にどんな言葉が隠されているのか」推理してみませんか。そして、漢字の記憶を呼び戻してみませんか。

鳥取市在住。ブロとも大歓迎です。

バズル作り、ゲーム作りが第一の趣味

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「パズルで脳トレ講座」オンライン講師
講座のパズルは、私が考えたもので、お絵かきロジック、スケルトン、ナンプレ、面分割パズル、ペントミノ、迷路パズル、経路パズル、ループ、推理パズル、虫食い算、最適化パズルなど、既存のパズルの周辺を考えたものから、まったく新しい発想、形式のものまで41種類もあります。本講座は「飽きずに楽しく遊べる場を提供し、論理的思考力向上のお手伝いをさせていただく」というコンセプトで作られています。ぜひ、皆様にもおす
すめしたいと思います。お試しパズルを用意
していますので、まずは、そちらをお試しください(無料)。
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