漢字が覚えられる暗号小説です。灰色の数字をクリックし、数列解読しながら、お読みください。

三枚の学生(前半)

ストーリー解説(wikipedia)



下は、シャーロック・ホームズ「三枚の学生」の前半文です。会話文主体で、論理的に、かな:漢字は読みやすい範囲内の比率で書かれています。19の段落に分けられ、その段落の冒頭には毎日1つ黒色から灰色に変わるカッコ付きの番号が付けられています。その灰色の番号をクリックすると、画面が「小説文解読パズル(Seesaa ブログ)」に切り変わり、いくつかの漢字が数列化された段落が現れます。現れた段落の数列を漢字の読み、綴りに戻していくうちに、それらの記憶が強化される仕組みになっております。単に読書をしただけなら、漢字力がつくとは限りませんが、この方法なら、つくはずです。では、クリックして、解読してみてください。ストーリーは、こちらをお読みください。



(1)あれは九五年のこと、ここで触れるまでもない諸々の事情から、シャーロック・ホームズくんと私は、この国随一の大学町で数週間を過ごすこととなったのだが、その折に見舞われたのが、今よりお話するささやかながらも深い事件なのである。もっとも詳しく書いて読者諸賢にその大学や犯人を特定させようものなら、盲動俗悪の謗りを受けよう。かように痛ましい不始末は忘れるままがよいのではあるが、しかるべき配慮さえあれば、この一件を著してもよかろうと思われる。何よりわが友人の辣腕の一端を知らしめる一助となるのであるから。ただ記すにあたり、この件を特定の場所へ結びつけたり、関係者への手がかりを与えたりすることのないよう心がけるものである。当時我々が身を寄せていたのは図書館近くの家具つき下宿で、シャーロック・ホームズは初期イングランドの勅許状について念入りに調べ上げていたところだった――その成果は見事なものであるからいずれお話することがあるかもしれない。ともかくもここである夕べ、我々はある知人の訪問を受けた。ヒルトン・ソウムズ氏は聖セントルーク学寮の学監兼講師であり、長身痩躯、ささいなことを気にしてすぐ怒り――以前より落ち着きのない男だと知ってはいたが、今回は手がつけられないほど取り乱したふうであったから、ただならぬことが出来したのは間違いなかった。「ぜひとも、ホームズ先生、貴重なお時間を少々割いていただきます。聖ルークは大弱りの事件に見舞われ、まさに僥倖、あなたがこの町にいらっしゃらなければ、どうすべきか今頃途方に暮れておりました。」「僕は目下大忙しで、邪魔はご勘弁を。」と友人が答える。「警察を呼ばれた方がよかろうと存じます。」


(2)「いやいやよろしいですか。そのような対応はどだい無理。いったん警察沙汰になればもう収まりつきません。この件ばかりは学寮の名誉のため、騒ぎになるのをどうしても避けねば。ご配慮いただけるのはその手腕同様つとに有名、助けとなるのはあなたばかり。お願いです、ホームズ先生、どうかお力を。」 友人の機嫌は勝手知ったるベイカー街の環境から離れて向こうよくなることはなく、切抜帳も実験器具もいつもの散らかり具合もないとあっては、とっつきにくい相手とならざるをえない。しぶしぶといったふうに肩をそびやかすと、客人は早口でそわそわ身振り手振りを交えて、話を一挙に語り出す。「前置きとしては、ホームズ先生、明日はフォーテスキュー奨学金の試験初日で、わたくしも試験官のはしくれ。担当はギリシア語で、問題冒頭に受験生の見知らぬ長文のギリシア語翻訳を課しておりまして。試験問題に刷られた箇所が割れれば、当然受験生は前もって対策できますから、大いに利がございます。ですから細心の注意を払って問題を伏せるわけで。本日三時頃、問題の校正刷りが印刷屋から届きまして。課題としてはトゥキュディデスから半章を抜粋、本文の誤字はゼロか丹念に読み返さねばなりません。四時半、作業はいまだ終わらずじまい、けれども知人の部屋でお茶の約束がございましたから、机の上に校正刷りをおいて部屋を空けまして。一時間と少しの不在です。ご存じでしょうが、ホームズ先生、わが学寮の戸は二重――部屋の内側が緑のベーズ付きで、表向きが楢のものになっております。わたくしが表扉に近づくと、驚いたのなんの、鍵が挿さったままで、ふとわたくしのうっかりかと思ったものの、懐探るとちゃんとある。と残る合い鍵は知る限り使用人のバニスタが持つものだけ――


(3)この男はわたくしの部屋の世話をして一〇年、真面目なること疑いの余地もございませんが、見てみると確かに鍵は彼のもの、お茶がいるかと部屋へ顔を出し、帰るときにうっかり取り忘れたのかと。挿したままでも他の折なら問題もさほどないでしょうが、この日ばかりは最悪の事態になってしまうわけで。机に目をやったとたん、はっとしました。何者かが問題をひっかき回したのですよ。校正刷りは縦長で三枚、すべてまとめてあったというに、見ると一枚は床の上に落ち、もう一枚は窓際の小机の上、三枚目は置いておいたところにそのまま。」ここで初めてホームズが口を挟む。「一頁目が床上、二頁目が窓際、三頁目がそのまま。」「そうですともホームズ先生、どうしてご存じで?」「どうかその興味深いお話の続きを。」「すぐ思いついたのは、あろうことかバニスタが問題を勝手に見てしまったのではということで。とはいえ当人は真面目な顔で否定致しますし、わたくしとて嘘でないと心底より思い。となると残るは、通りすがりの何者かが戸に挿しっぱなしの鍵を認め、わたくしが不在と知るや忍び込んで問題をのぞいたことに。大金がかかっております。奨学金はたいへん高額、不届者なら学友を出し抜こうと危険を冒してもおかしくありません。 バニスタはこの件で気がすっかり動転、問題の荒らされた疑い濃厚とわかるや卒倒寸前。ブランデイを一口やり、椅子で休ませ、その間わたくし部屋をくまなく調べてみました。すぐ気づいたのは、侵入者が紙の皺の他にも存在の痕跡を残していることで。窓際の小机には鉛筆の削り滓がちらほら、同じくそこに折れた芯の先がころん。どう見ても悪たれが大慌てで問題を写していて鉛筆が折れたがため、なんとか尖らせようとしたということで。」


(4)「お見事!」とホームズは機嫌を取り戻し、事件のことが気になりだした様子。「運は君に味方している。」「こればかりではなく。わたくし、いい赤革張りの書き物机を新調しまして、誓って申し上げて、バニスタも請け合いましょうが、ずっと毛羽も汚れもございません。だのに今見ると三インチほどの真新しい傷が――ただの傷でなく間違いなく切られたものですよ。それどころか卓上に黒い塊、小さな泥玉があって、そこに大鋸屑おかくずのようなものがぽつぽつと。きっと問題を荒らした輩の残したものやと。ただ何者か特定できる足跡その他証拠はなし、考えあぐねた末、ふと妙案が浮かび。あなた様がこの町にいらっしゃる、とこの件をあなた様の手に委ねんとそのままこの足で参った次第。どうかご助力を、ホームズ先生、窮地なのです。そやつを見つけねば、試験はあらためて問題の用意ができるまで延期せざるをえず、そうとなれば説明も不可欠、きっと恐ろしい不祥事となり、果てはこの学寮にとどまらず大学全体に影を落とすことに。何事にもましてこの一件は表沙汰にならぬようご配慮いただければと。」「喜んで調査の上、できる限りのご助言を差し上げましょう。」とホームズは立ち上がり、外套を羽織る。「この事件、まったく面白味がないわけでもない。問題の届いたのち、どなたかお部屋へお訪ねに?」「ええ、ダウラト・ラースという青年が。同じ棟に住まうインド人の学生で、試験について細々と質問を。」「部屋には立ち入らせた?」「ええ。」「すると机の上に問題が?」「丸めてあったと、記憶を。」「ただ校正刷りと悟られたおそれも。」「ことによると。」「他に部屋へ誰か?」「いえ誰も。」「どなたか校正刷りがそこにあると知っていた人物は?」


(5)「印刷屋以外誰も。」「ではバニスタなる人物も知らない?」「ええ、それこそ誰も。」「当人はいまどこに。」「具合を悪くして、かわいそうに、椅子に休ませたまま出てきたので。大急ぎで参ったものですから。」「戸を開けたまま?」「問題は真っ先にしまいましたよ。」「そうしてここに至る。ソウムズさん、インド人学生がその巻紙を校正刷りと気づかなかったとすれば、手を出した男はそこにあると知らず、たまたま来たことになります。」「そうなりますね。」 ホームズはなぜかここで微笑む。「さて参りましょう。君好みではないね、ワトソン――物でなく心の問題だ。よろしい、来るかは任せる。ではソウムズさん――案内の方を!」 依頼人の居間についた細長い格子窓が、玄関とともにこの歴史ある学寮の苔むす方庭はこにわへ面していた。ゴシック様式迫持造りの戸口には擦り切れた石段があり、入ると一階にその講師の居室があるという形だ。玄関を同じくする棟の上には一階ひとかいにひとりずつ、三人の学生がいる。現場へ着いた時分には、もうあたりは夕闇に包まれていた。ホームズは立ち止まり、窓をまんじりとにらむ。それから近寄り、つま先立ちで首を伸ばし、室内をのぞき込んだ。「そやつはこっちの戸から立ち入ったに違いありません。窓ひとつある以外、入口はございませんし。」と案内していた講師が言う。「なんと!」とホームズは妙な笑みを浮かべて、依頼人に流し目を送る。「ふむ、ここで得られるものがないなら、なかへ入るが賢明か。」講師は表扉の鍵を外し、我々をなかへと招き入れる。我々は部屋の入口で立ち止まり、そのあいだホームズが絨毯を調べ始める。「おそらくここには何もないでしょう。」と友人。


(6)「かくも日差しが強くては、何も期待できない。使用人もすっかり気を取り戻したようで。お話では椅子に休ませたとのことですが、どの椅子で?」「窓際のそれです。」「なるほど。この小机のそば。もう入っても結構。この小机から始めましょう。もちろん事の次第は実に明らか。男が忍び込み、中央の机から紙を一枚ずつ手に取った。そしてこの窓際の机まで持ってきた。ここからなら、あなたが中庭をやってきてもわかる上、逃げおおせもする。」「ただ実際はそうでなく。」とソウムズ。「わたくしが入ってきたのは勝手口でして。」「うむ、結構! だがとにかくその者の念頭にはあった。当の三枚を見せていただきたい。指紋はなし――なしか! ふむ、この一枚をまず持っていき、写した。手にとってやりおえるまでの時間は、あらゆる縮約形を用いたとして……少なくとも一五分。そのあと放り落として次をつかむ。そのさなかにあなたが戻ってきたため大慌てで逃げ出した――大慌てで。問題を元に戻すひまもなく、それで誰かがいたとあなたに知られるわけですが、裏から建物に入るとき、玄関の石段を駆け降りる足音には気づかず?」「そう、ですね。」「ふむ。その者はあらん限りの力で書いたため鉛筆を折り、あなたの考え通り、再度尖らせる羽目になった。この点は興味深いね、ワトソン。その鉛筆はありふれたものではなかった。よくある寸法よりも大きく、芯は柔らかく、表面の色は紺、製造者の名は銀の刻印で、残りは一インチ半ほどしかない。このような鉛筆を探すのです、ソウムズさん、さすれば目的の者は捕らえられます。一言付け加えると、その者はひどくなまくらな小振りの刃物を持っています。ご参考まで。」


(7)ソウムズ氏は一挙に多くのことを知らされ、いくぶん気圧されてしまっていた。「まあ、あらかたついてはゆけますが、正直、長さの件だけは――」 と、ここでホームズの差し出したる小さな木切れ。NNという文字のあと、木片には何も刻まれていない空白があった。「どうです?」「とおっしゃられましても――」「ワトソン、君に対する今までの扱いは間違っていた。他にもいたのだな。さてこのNNは何がありえるか。単語の末尾ではある。ご存じ、ヨハン・ファーバーは最も知られた製造者の名だ。では明らかではないか。通常そのヨハンという文字のあとに続く分だけの鉛筆しか残っていないのだと。」と友人は小机を電灯の前へ持ってくる。「書き付けた紙が薄かったのなら、きっと何らかの跡なりがこの研磨面にできるはず。なし、何もなしだ。これ以上得るものはないと見える。さて中央の机だ。この小さな塊が、見たところ君の話した黒い泥玉と。形はどこか角錐のようであり、なかは空洞らしく、おっしゃった通り大鋸屑が混じっているようで。なんと、いとおもしろきもの。そしてこの傷――きっと裂かれたものだ。入りは浅く、抜けがぎざぎざの穴に。ありがとう、ソウムズさん、おかげさまでこの事件に目を向けることができました。ところでその扉の先には何が?」「わたくしの寝室が。」「事件以後立ち入ったりは?」「いえ、まっすぐあなたの元へ。」「ひとつ見て回りたく。なんと古風で素敵な部屋! しばしお待ちいただけると幸い、床を調べ終わるまで。なし、何もなし。その窓掛けはどうか。裏に衣服がかけてあるとして、何者かがこの部屋に潜まざるをえないなら、そこしかない。なにぶん寝台は低すぎ衣装戸棚は狭すぎる。誰もいないとは限らないわけだが!」


(8)ホームズが窓掛けを引く瞬間、私は息をのむ。その仕草には緊張感があり、万一に備えているとわかったからだ。実際には、引かれた窓掛けが何をあらわにするでもなく、並んだ掛け釘から三、四着の上下がぶら下がっているだけ。そしてホームズは立ち去る途中で、ふと床に身をかがめる。「ほお!これは何だ。」と友人。 それは小さな黒い泥の塊、書斎の机にあったものとそっくりであった。ホームズは手のひらに載せ、電灯の光にかざす。「侵入者は居間ばかりか寝室にも跡を残していったようです、ソウムズさん。」「何のためにそんなところへ。」「それは至極明らかかと。あなたが予想外のところから戻ってきたため、部屋の扉前まで気づかなかった。できたことは? 足の着くものをみなひっつかみ、寝室に駆け込んで身を隠すことです。」「そんな、ホームズ先生、ではこうおっしゃると。わたくしがバニスタとこの部屋でしゃべっているあいだずっと、そやつは気づきさえすれば捕まえられるところにいたと。」「そう踏んでいます。」「こ、こんなふうにも考えられますよ、ホームズ先生。寝室の窓をご覧になったかどうかはわかりませんが……」「鉛製の格子窓で硝子入り。三つ並んで蝶番で動くものがひとつ、人ひとりなら何とかなる大きさでした。」「その通りで。面しているのは中庭の奥なのでよくは見えません。そやつはそこから忍び込み、寝室を通り抜けたから跡が残ったのであって、最後に開け放しの扉から出たとも……」我慢できずにホームズが首を振る。「現実的に考えましょう。確かこうおっしゃった。この玄関を使う学生は三人いると。普段からあなたの部屋の扉の前を通るのですね?」「ええ、そうですね。」


(9)「そして全員、この試験を受ける?」「ええ。」「そのうちひとりを、特別に疑ってみることは?」ソウムズは戸惑っていた。「たいへん微妙な問題で。ふつう証拠もないのに人を怪しみたくなどないでしょう。」「まずはその怪しいと思うことを。証拠の方は僕の仕事です。」「でしたら手短にお話を。この棟に住む三人の人となりですが、一番下にいるのがギルクリスト、彼は文武両道、大学ではラグビー部とクリケット部に入っており、障害物走や走り幅跳びでは対抗戦の代表です。健やかで逞しく、父親が悪名高いジェイベス・ギルクリスト勳士――競馬で身を持ち崩した人物で、この生徒はひどい困窮に追い込まれましたが、熱心で勤勉。将来有望です。 三階に住むのがダウラト・ラース、例のインド人です。物静かで不思議なやつ、といってもインド人はみなそうですが。学業は結構ですが、ギリシア古典は苦手科目で。真面目で几帳面なんです。 最上階を使うのがマイルズ・マクラレン。やると決めればすごいやつで――大学でもその賢さは上の上、ただ厚顔無恥の放蕩者で。初年度にトランプ騒ぎで放校になりかけました。今学期もずっと怠けっぱなしで、試験の来るのをびくびくしてるに違いありません。」「ではその男こそ怪しいと?」「まだそこまでは何とも。ただ三人のうちでは、一番ありそうではあります。」「まさしく。さてソウムズさん、あなたの使用人バニスタとの面会を。」 その男は小柄で、白い顔には髭がなく、白髪交じりで歳は五〇前後、穏やかな日課が今回唐突に乱されて、いまだ心を痛めているといったふうであった。そのふっくらした顔は不安で引きつっており、指の震えも収まらない。


(10)「今あの厄介事を調べておるのだ、バニスタ。」とその主人が声をかける。「御意に。」 ホームズが口を開く。「僕の理解では、あなたが扉に鍵を挿したままにしたとのことですが。」「そうでございます。」「大層な偶然ではありませんか。こうして問題が室内にある日に限って、しでかしてしまうなんて。」「たいへん間の悪いことではありますが、しばしばこうしたことを別の折にもやらかしまして。」「部屋に入ったのはいつです?」「四時半頃で。ソウムズさまのお茶の時間ですので。」「なかにいたのはいかほど。」「旦那さまがご不在と見て、すぐさま退室を。」「机に試験問題があるのはわかった?」「いえ――まったく。」「どうして扉へ鍵を挿したままに?」「手に茶盆がございまして。あとで鍵をと戻るつもりでございましたが、うっかり。」「表扉にばね錠は?」「ございません。」「ではずっと開いたまま。」「そうでございます。」「部屋に人がいても出られる。」「そうでございます。」「戻ってきたソウムズさんに呼ばれると、君はひどくうろたえたとか。」「はい。このような事件は長年おりまして一度もなかったことでして、気が遠くなりまして。」「そうだろうとも。具合が悪くなり出したときはどこに?」「どこ、ですか? その、ここ、部屋の扉のそばに。」「それは妙だ。向こうの隅の椅子に君は座った。どうして途中の椅子を通り過ぎた?」「わかりません。どこに座ってもよろしいのでは。」「実際そんなこと本人もよくわからないと思いますよ、ホームズ先生。ひどく気分が悪そうで――あんまりでしたから。」「主人が出たあともここに残った?」「数分ばかり。そのあと表扉に鍵をかけて自室へ。」


(10)「怪しいのは誰です?」「そんな、わたくしめの口からはとても。この大学にはそのような御仁1いらっしゃらないと信じております。こんなことをしでかしてまで人を出し抜こうなんて。おりません、そう信じております。」「ありがとう、十分だ。」とホームズ。「いや、あともうひとつ。あなたが受け持ちの三人の紳士のうち、誰ひとりとしておかしなところはなかったと言うのですね。」「はい――ございません。」「誰も見かけなかった?」「はい。」「実に結構。さてソウムズさん、方庭の散歩を、差し支えなければ。」 頭上の三部屋から四角い光が深まる闇のなか漏れ輝いていた。「三匹の鳥はみなその巣にいると。」とホームズは見上げる。「ほお! あれは何だ。ひとり落ち着きのないやつがいる。」 それはインド人で、その黒い影がいきなり日覆いの向こうに現れるや、部屋をせかせかと行ったり来たり。「ひとりずつ顔をのぞいてみたいのですが。」とホームズ。「できますか?」「お安いご用で。」とソウムズの返事。「このあたりの部屋はこの学寮でも最古の部類ですから、見学に来る人も珍しくありません。こちらへ、じかにご案内を。」「どうか名は伏せて!」とホームズが言ったのは、我々がギルクリストの部屋の戸を叩いたときであった。長身痩躯、亜麻色の髪の青年が扉を開け、その用向きを知るや快く受け入れてくれた。なかにはわが国の中世建築を特徴付ける珍しい箇所が数々あり、ホームズはそのうちのひとつに見とれ、手帳にその絵を描きつけたいと言い出したが、鉛筆を折ってしまい、部屋の主からあらたに借りねばならず、とうとう刃物まで借りて削る羽目に。同じく妙な災難はインド人の部屋でも起こった――

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プロフィール

米澤章夫

Author:米澤章夫

小説文解読パズル」考案者

沢山の方々のご訪問ありがとうございます。
このブログの本文は、小説文解読パズル(Seesaaブログ)
の出題元となっています。段落内の漢字が出題されますので、よくお読みください。

ところで、どんなトレーニング、学習にせよ「面白い」と感じている時は集中力は増します。集中力が増せば効果も増します。本ブログはこの理屈に基づいた漢字暗記法を公開しております。ブログには小説文中の任意の漢字または漢字と送り仮名の音が数字化されており、小説文を読みながら、それらの数列を数字に分割し、分割した数字を漢字の「読み」「綴り」に戻していくうちに、それらの記憶を強化できるというものです。分割するたびに、いろんな漢字が脳裏によみがえり、答え合わせをすることで「綴り」を確認することができます。前後の句と比較することで、その「使い方」を確認することもできます。以上のことから、「記憶の呼び戻しは、数列解読過程にある」と言っても過言ではありません。あなたも「数列にどんな言葉が隠されているのか」推理してみませんか。そして、漢字の記憶を呼び戻してみませんか。

鳥取市在住。ブロとも大歓迎です。

バズル作り、ゲーム作りが第一の趣味

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「パズルで脳トレ講座」オンライン講師
講座のパズルは、私が考えたもので、お絵かきロジック、スケルトン、ナンプレ、面分割パズル、ペントミノ、迷路パズル、経路パズル、ループ、推理パズル、虫食い算、最適化パズルなど、既存のパズルの周辺を考えたものから、まったく新しい発想、形式のものまで41種類もあります。本講座は「飽きずに楽しく遊べる場を提供し、論理的思考力向上のお手伝いをさせていただく」というコンセプトで作られています。ぜひ、皆様にもおす
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していますので、まずは、そちらをお試しください(無料)。
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